SOLIZE株式会社

3Dプリント試作品製作

定置用蓄電システム「MEGALORE」のモックアップを
3Dプリンターで製作
~「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」「国際物流総合展2024」で展示~

輸送機器
株式会社豊田自動織機

定置用蓄電システム「MEGALORE」のモックアップを3Dプリンターで製作 - 豊田自動織機

目次

  1. 定置用蓄電システム「MEGALORE」とは
  2. 課題と仕様検討
  3. 発注から2週間で高品質なモックアップを納品
  4. 大規模な展示会での「MEGALORE」のPRに貢献
  5. インタビュー

定置用蓄電システム「MEGALORE」とは

定置用蓄電システム「MEGALORE」

定置用蓄電システム「MEGALORE(メガロア)」は、豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニーが、電動フォークリフト用リチウムイオン電池をリユースして開発したシステムです。

昨今、電動化が進むフォークリフトの中でも急速充電が可能で充放電効率の高いリチウムイオン電池を搭載した車両の需要が高まっており、同社では2020年から電動フォークリフト用リチウムイオン電池「ENELORE(エネロア)」を提供しています。一方で、交換時期を迎えた「ENELORE」の活用が今後の課題となっていました。

その解決策として同社は、使用済みの「ENELORE」を有効活用した、定置用蓄電システム「MEGALORE」を開発しました(https://www.toyota-shokki.co.jp/news/2023/10/26/008585/index.html)。

本システムは、リユースされた電池を用いて、再生可能エネルギーの普及と蓄電池の循環システム構築に貢献することを目的としています。

課題と仕様検討

JAPAN MOBILITY SHOWなどの大規模な展示会で、同社の先進的な取り組みを効果的に魅せるため、精巧なモックアップが必要でした。しかしJAPAN MOBILITY SHOW の開催日が迫る中でMEGALOREの展示が決定したこともあり、高品質なモックアップを2週間で納品できないかとの相談を受けました。

当初は3Dプリンターで製作することが前提で、詳細な作り方に関しては、イメージ画像に製作仕様を記入した資料をもとに打ち合わせを実施しました。SOLIZEは、磨いてきれいにしたい部分や、模型にした時に穴が開いているように見せたい部分、ねじを表現したい部分などお客さまの要望をヒアリングし、QCDのバランスを考慮しながらどのような方法で製作するのか、製品仕様をまとめました。

発注から2週間で高品質なモックアップを納品

SOLIZEは、モックアップ用の縮尺データを実寸大のデータからモデリングし(参考:豊田自動織機のエアジェット織機「JAT910」のモックアップを3Dプリンターで製作)、JAPAN MOBILITY SHOWにて展示するうえで必要な品質要件を満たすため、3Dプリンターとそれ以外の工法を組み合わせて製作することを提案しました。

同社と協議のうえ、「MEGALORE」本体の外側やフォークリフトを模した形状や展示台などは切削加工、文字の再現にはUV印刷、コンテナ内部の細かい部分やコンテナ外側の鉄の棒、細かい穴が開いている箇所など微細形状の再現にはFigure 4を活用し、製造コストを抑えるためHP Jet Fusionを活用するなど3Dプリンターを使いわけ、高品質なモックアップの仕様検討を3日、製作を10日で実施し、納品しました。

実施内容

  • お客さまの要望をヒアリングし、QCDのバランスを考慮しながら製品仕様を決定
  • モックアップ用の縮尺データを実寸大のデータからモデリング
  • お客さまの予算に合わせ切削、UV印刷、3Dプリンターなどの工法を適材適所で活用し、高品質なモックアップを短納期で納品

大規模な展示会での「MEGALORE」のPRに貢献

2023年10月に東京ビッグサイトで開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では、カーボンニュートラルの実現に向けて全方位で電動車の走りを支える同社の製品や、次世代モビリティへの搭載が期待される新技術、工場からのCO2排出量削減に向けた取り組みを同社展示ブースにて紹介しました。工場からのCO2排出量削減に向けた取り組みとして、「MEGALORE」のモックアップを展示しました。

2024年9月に東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2024」では、「自動化・省人化」「カーボンニュートラル対応」「安全で快適な現場づくり」の3つのテーマで物流業界が抱えるさまざまな課題に対するソリューションを紹介しました。カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、フォークリフトの生産から製品の使用・リサイクルまで、サプライチェーン全体でのCO2低減に寄与する製品や取り組みとして「MEGALORE」のモックアップを展示しました。

「MEGALORE」のモックアップを展示したことで、説明員からは「フォークリフト用のリチウムイオン電池を集めて『MEGALORE』が完成するイメージをすぐにご理解いただけた」「イメージのみではなく、モックアップがあることで、説明がスムーズだった」と好評でした。

  • 「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」での同社展示ブース

  • 「国際物流総合展2024」での同社展示ブース

  • 「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にて
    「MEGALORE」のモックアップを展示

  • 「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にて
    「MEGALORE」のモックアップを展示

  • 「国際物流総合展2024」にて
    「MEGALORE」のモックアップを展示

インタビュー

左から
トヨタL&Fカンパニー 製品企画部 技術企画室 デザイングループ 佐々木 望 様
トヨタL&Fカンパニー 商品企画部 企画室 エネルギー企画G 博士(工学) 曽根 宏隆 様
技術統括センター 技術管理部 開発支援室 3D造形G 主担当員 横田 政博 様

「MEGALORE」について詳しく教えてください。

曽根様「MEGALORE」は、電動フォークリフト用リチウムイオン電池の2次利用の取り組みとして開発された、リユース電池を使用した定置用コンテナ蓄電池です。

フォークリフトは自動車などとは異なり、工場内などの限られた作業範囲内で使われるため、販売後もバッテリーの寿命や、劣化状態などの情報を管理しやすく、再利用が可能である点が特長です。出荷から5年経つと一度点検でバッテリーが返ってくるタイミングがあります。その際にバッテリーの状態を確認し、フォークリフトで使用を続けるのが難しい電池も再利用できるように「MEGALORE」を開発しました。

「MEGALORE」には42個のリチウムイオン電池が搭載可能で、災害時には1日70世帯分の電力の確保が可能です。また、自家消費用の電力源として、ピークカットやピークシフトにより、夏場の電気の基準価格を下げることができます。さらに、電力需要に加え、CO2削減効果への期待も大きいです。現在は、豊田市民文化会館と豊田自動織機 高浜工場にてピークカットの実証試験を実施し、製品化に向けた取り組みを行っています。

「MEGALORE」のモックアップを製作した背景と、SOLIZEに依頼した経緯についてお聞かせください。

佐々木様私は「MEGALORE」の色とロゴのデザイン制作に関わっており、曽根さんが所属している商品企画部から「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で「MEGALORE」を紹介するためモックアップを製作したいとの相談を受け、デザイン部として担当することになりました。

曽根様カットモデルにして、「MEGALORE」の中に「ENELORE」がたくさん入っていることがわかるようにしたい、また、バッテリーが取り出し可能であることを表現するため、モックアップのバッテリーも取り出せるようにしたいということから、3Dプリンターで製作することを考えました。当初は社内で製作することを考え、3Dプリンターに携わっている横田さんにお願いしましたが、サイズ的に社内での対応は難しく、SOLIZEさんをご紹介いただきました。

横田様当初、モックアップ製作の相談が来た際は、社内の3Dプリンターで製作したいという話でしたが、サイズが大きいため難しいと判断しました。外部に依頼するにあたり、3Dプリンターに精通しているSOLIZEさん一択だと思いました。我々も3Dプリンターは保有していますが、やはり3Dプリンターのグレードや、3Dプリンターに適した設計技術の点でSOLIZEさんにお願いしたいと思いました。繊維織機のモックアップ製作など多くの実績を伺っていたので安心してお願いできると思い、SOLIZEさんを紹介しました。

完成したモックアップの感想と、社内の反応についてお聞かせください。

横田様プレスリリースに掲載していた「MEGALORE」のイメージ画像にそっくりだと思い、完成度の高さに驚きました。

曽根様エアコンのメッシュや、バッテリーのコネクタ部品など、かなり細かい部分が再現されており、現物の再現度が非常に高く、すごいと思いました。また、台座などのパーツにはツヤがあり、高級感があり洗練されたデザインのモックアップができあがったので感動しました。社内では、「すごいきれい」「かっこいい」「カットモデルでコンテナの内部が鮮明にわかる」など絶賛でした。
「国際物流総合展2024」では私も見学日当日に急遽説明員として短時間でしたが参加し、今回製作いただいたモックアップを使って説明をしたのですが、説明しやすく、お客さまにすぐに理解いただけて、とてもよかったです。

佐々木様まず、ぱっと見の印象から「お、いいな!」と思いました。短納期だったので少し心配があったのと、粉末造形で製作することになった部分の細かい点の再現性については難しいと事前に言われ、諦めた箇所がいくつかありましたが、完成したモックアップを確認した際、そこがきちんと再現されていたのでここまでやってくれるのかと感動しました。また、切削で製作した個所については、切削痕がどうなるか心配していましたが、その部分もしっかり仕上げてもらえてよかったです。納品時にモノを確認した時、本当にすごくよかったので、思わずSOLIZEさんに電話をかけました。

説明員からは、これがあることで説明しやすかったという声が挙がっていました。ネガティブな反応、わかりづらいという声が挙がらないというのが何よりよかったです。同僚のデザイナーが「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で見てきた際、切削の部分の加工精度や3Dプリンターによる細かい箇所の再現性に驚き、感心していました。

モックアップのデザインについて、こだわりのポイントをお聞かせください。

佐々木様現物の「MEGALORE」には青い模様が入っているのですが、SOLIZEさんへのモックアップ製作の相談は、この青い模様のデザインに決まる直前でした。その後、青い模様のデザインができあがり、モックアップに反映させられなくもないタイミングでしたが、今回はコンセプトがわかりやすいことが一番重要だったので、シンプルに白にして、中に「ENELORE」がたくさん入っていることがわかりやすいというところに重視しました。

一方で、白色のコンテナは細部にこだわらないと、ただの白い箱という印象になってしまうので、細かい形状がしっかりと再現されていたのが本当によかったです。ある程度細かい形状を再現しないとコンテナ感が表現できず、「MEGALORE」の中に細かいものがいっぱい入っている凝縮感がでません。パイプのボルトや、バッテリー部分の黄緑色の端子など、ちょっとした要素をしっかり入れることで質感がかなり上がるので、そこが再現されていてよかったです。

そのほか、メッシュの部分の再現は、こだわりのポイントの一つでした。当初、3Dプリンターで造形するのは難しいという話があり、シールを貼るなどできないかと相談していましたが、最終的にはしっかり3Dプリンターで再現されていて感動しました。

フォークリフトのデザインも悩みました。「ENELORE」がフォークリフトに乗っているのがわかるように置きたかったのですが、目立ちすぎてはいけないので、どのように表現するかをSOLIZEさんとかなり悩みました。短い期間にも関わらずここまでの完成度に満足しています。

製作期間は2週間程度でしたが、製作中のやり取りはいかがでしたか。

佐々木様最初はイメージ画像に要望を書いた簡単な指示書をもとに打ち合わせをしました。その後は展示会の準備などで時間もなく、打ち合わせができない中、都度イメージ付きの資料を送ってくださってとてもわかりやすく、デザインの判断がしやすかったです。また、モックアップ製作の勘所をわかっていらっしゃるので、スムーズに進めていただけました。

通常、モックアップの色合わせは色見本を支給して、調色してもらうのですが、今回は展示会まで時間がなく、ロゴ以外の部品は色見本の支給ができませんでした。参考の写真や言葉で何とか、たとえばコンテナであれば「黄色味がからないように、青みがかったクリーンな白で」程度の指示しかできませんでしたが、最終的によいものができたのでよかったです。

これまでモックアップ製作はモデル業者さんに依頼していましたが、3Dプリンターが得意な会社さんにお願いするのは初めてでした。今回、モックアップ製作の勘所をよく知っているSOLIZEさんにお願いしてみて、3Dプリンターの活用により費用を抑えられ、納期も短く済み、モックアップの製作を依頼する頻度が上がりました。納期については、同じものを別の工法で作ったことがないのでわかりませんが、感覚的には半分くらいに短縮できたと思います。

今後SOLIZEに期待することを教えてください。

曽根様これまで別の製品でのモックアップ製作を検討したことはありましたが、費用に対してできあがりに満足できませんでした。今回製作していただいたモックアップは非常によい仕上がりで、もっと早くSOLIZEさんを知りたかったと思うほどでした。「MEGALORE」が複数台並んだようなシステムのモックアップなども製作する可能性があるので、その際はまたぜひSOLIZEさんにお願いしたいと思います。

佐々木様3Dプリンターでここまで再現できるということがわかり、従来よりも製作リードタイムは短く、費用も抑えられることがわかったので、モックアップ製作依頼のハードルが下がりました。今後もSOLIZEさんにお願いしていきたいです。

別件で、デザイン確認用の大型のモックアップ製作に苦労しているのですが、SOLIZEさんは大型のモックアップ製作も得意と伺いましたので、今後相談したいと考えています。フォークリフトのウエイト部分のモックアップ製作は、クレイを削るか、3Dプリンターもしくは切削加工品を分割して作ったものを貼り合わせるなどの方法になるのですが、分割して製作すると貼り合わせ部分の段差ができたり、経年劣化で歪んでしまったりして苦労したので、そのあたりも含めご相談させていただけたらと思っています。

  • ※所属部署・役職は本活動推進時のものです

ほかの事例も見る

3Dプリント試作品製作に関するお問い合わせ

サービスに関する情報をはじめとした各種資料(PDF)をご提供しています。
資料はまとめてダウンロードできます。お気軽にご利用ください。

サービスに関する情報をはじめとした各種資料
お見積り・
お問い合わせ
資料ダウンロード