3Dプリント試作品製作
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豊田自動織機のエアジェット織機「JAT910」のモックアップを
3Dプリンターで製作
輸送機器
株式会社豊田自動織機
株式会社豊田自動織機のエアジェット織機JATシリーズは、世界中のお客さまにご愛用いただいているベストセラー商品です。長年にわたり受け継がれる「高品質な織物を低コストで生産する」という開発コンセプトをもとに、時代と共に変化するニーズを捉えながら、お客さまと共に発展し続けたいという思いが形になっています。大正15年の創業以来から続く豊田自動織機の最新モデル「JAT910」のモックアップに、SOLIZEの3Dプリント品が採用されました。
目次
株式会社豊田自動織機について
株式会社豊田自動織機は、1926年に愛知県刈谷市において、社祖豊田佐吉の発明であるG型自動織機の製造・販売のため設立されました。その後、事業領域を、車両・エンジン・カーエアコン用コンプレッサーなどの自動車関連事業、フォークリフトや物流機器をはじめとする産業車両事業へと拡大し、新たな価値を創出する研究開発や、お客さまに満足して使っていただける商品の製造およびサービスの提供に取り組んでいます。
現在、連結子会社数は世界に271社、従業員数は74,887名へと成長し(2023年3月31日現在)、エアジェット織機、カーエアコン用コンプレッサー、フォークリフトの3製品は、世界シェアNo.1を誇っています。豊田自動織機は、多様な事業を通じて、住みよい地球と豊かな社会、そして温かい社会づくりに貢献している企業です。
詳細は https://www.toyota-shokki.co.jp/ にてご覧いただけます。
ロングセラー日本製自動織機 エアジェット織機JATシリーズ
社祖である豊田 佐吉が1924年にG型自動織機を完成させてから100年、時代のニーズに合わせた製品の開発を続けてきました。衣料のみならず、ホームテキスタイル、医療用・産業資材など、幅広い分野のお客さまが使用されています。中でも圧縮空気でよこ糸を飛ばすエアジェット織機「JATシリーズ」は、世界中の織布工場で愛用されている製品です(2003年から20年連続世界シェアNo.1を獲得(豊田自動織機調べ))。
2022年に発売した最新機種「JAT910」では、従来モデルの高速・低振動技術と高い製織性能を引き継ぎつつ、さらなる環境性能の向上およびお客さまの工場管理の効率化支援を強化したモデルです。
詳細は https://textile-machinery.toyota-industries.com/jp/ にてご覧いただけます。
3Dプリンターでのモックアップ製作は認識合わせが肝心
展示やお客さまへの説明、販売促進用途としてモックアップのニーズが豊田自動織機様にあると考え、SOLIZEが3Dプリンターを活用したモックアップ製作を提案したところ、客先への販促用に持ち運びができる大きさのモックアップのニーズが実際にあることがわかりました。
まずはモックアップにしたい織機(JAT910)の写真を拝見し、大きさのイメージ、色、用途を伺い、QCD(品質、コスト、納期)のすり合わせを行いました。モックアップの案件は通常、仕様書や図面がないので、モックアップの用途を詳しく伺い、仕様を決めるところから始めます。
今回は、以前から面識のあった八木様と横田様がご担当ということもあり、イメージのすり合わせは大変スムーズでした。しかし、モックアップの案件は「詳しい工法はよくわからないけれどいい感じに仕上げて欲しい」というお客さまからの要望が多くあります。初めてやりとりをするお客さまとは「いい感じ」のさじ加減に認識の差が生まれてしまうことがあるので、対面でサンプルをご覧いただきながら、最終的なクオリティについて認識をすり合わせます。「予算がこのくらいで、クオリティはこのくらい、納期はこのくらい」と複数のサンプルをご覧いただき、お客さまの求める「いい感じ」を見つけていきます。この「いい感じ」のさじ加減が難しく、一番の勘所です。
お客さまの要望を実現するために、造形、色付け、組み立てができる形状を見出し、簡素化できる部分は簡素化する、それでいて「本物であるかのように製作できる」点が、SOLIZEのモックアップ製作の強みです。
3Dプリンター用のデータ作成
前述のとおり、モックアップには仕様書や図面がないため、製品の1/1(一分の一)の製造データを受領しました。製品の製造データにはネジやナット、パッキンなどのデータが含まれているため、まずはMaterialise社のmagicsというソフトを使用してばらばらになっているデータを一体化加工するラッピングという作業と、データの縮尺の変更を行いました。続いて、色付けや組み立てを考慮した分割と、肉厚や寸法の調整を行いました。
データ受領後、約1週間程度で、完成品のイメージを掴んでいただくためのミーティングを行いました。Autodesk社のNetfabbを使用して、完成イメージのデータを3Dビューアでご覧いただき、詳細に再現したい箇所と簡略化できる箇所、配色など、最終的なすり合わせを行いました。
すり合わせ完了後は、小さいパーツや細かすぎる形状は再現できる範囲にデフォルメしたり、パーツ同士がつながっていない部分の位置を調整したり、データを作り込みます。特に気を付けなければならないのは、意匠面に積層痕が目立たないよう造形方向を意識して、データを分割していくことです。また、色付けや印刷、組み立て方法により分割位置が変わるため、造形後の工程を考慮したデータ作成と分割が必要です。造形後の塗装により完成品の寸法が大きくなることも考慮して、事前にクリアランスを調整することも重要です。さらに、実際のデータにはない接着や位置決めに必要な形状を付加していきます。SOLIZEは、豊田自動織機様からいただいた数千の製品データをもとに、今回のモックアップ製作用に12個の造形用データを構築しました。
3Dプリンターでのモックアップ製作に適したHP Jet Fusion
データ完成後は、造形です。長期使用が可能で、強度や再現性に優れているHP Jet FusionのPA12を採用しました。通常の粉末造形の場合、0.8mm以下の再現は難しい場合が多いのですが、HP Jet Fusionは0.5mm程度の微細形状を再現できるため、モックアップ製作に適しています。また、サポート材が不要かつ塗装性がよい点も大きな特長です。多数のパーツを一度に造形できるため、コスト的にも納期的にもメリットがあります。
3Dプリンター製モックアップの塗装・印刷・ケース製作
モックアップの色味については、豊田自動織機様からの色指定があり、色見本を事前にご確認いただいたうえで塗装・印刷の工程に入りました。
通常のモックアップ案件では現物合わせのほか、パントーンなどの番手指定での要望が多く、SOLIZEはいずれの対応も可能です。色はモックアップのイメージを左右する重要な要素のため、モックアップに塗装する前に色見本をご確認いただき、調色し直すこともあります。
また、モックアップを飾るためのケース製作のご依頼をいただき、側面がアクリルパネル、台座がマシニング加工のケースを製作しました。製品名が書かれたプレートを台に置きたいとご要望いただきましたが、見た目や持ち運びを考慮し、台座の側面をC面にカットしてヘアライン加工したアルミプレートを貼ることを提案・採用いただきました。
データ作成から造形、塗装、ケース製作まで、発注から約1ヶ月で納品することができました。
Interview
JAT910のモックアップの取り組みはいかがでしたか。
1/1の製品データを渡しただけでどのようにしてモックアップ用のデータを作るのか不思議でした。1週間程度でモックアップ用のデータイメージを見せていただき、そのクオリティにも驚きました。こちらの要望を取り込んでいただき、残したい・強調したい形状は小さい部分でも表現して、不要な形状はそぎ落として、まるでプラモデルのようなリアル感のある仕上がりにしていただきました。
色合わせも大変だったと思います。マンセル値でも伝えましたが、材料の下地の色の影響もあるため、実際の色見本に合わせて、いくつかサンプルを作っていただき、色合わせを行いました。そのおかげで本物そっくりの色が再現できたと思います。布の表現も絶妙でしたし、非常ボタンの赤色塗装、会社ロゴは印刷できれいに仕上がっています。社内だけではなく、それを見たお得意さまからもとても好評です。
SOLIZEさんはいつもタイムリーに対応してくれるので助かります。しかも造形に限らず、その後の機械加工や塗装などの2次工程もまとめて引き受けてくれるので、ハンドリングの面でも大変ありがたくサポートいただいています。またモックアップや試作だけでなく、即対応しなければいけない緊急案件でも助けてもらっており、他社さんだと対応が1ヶ月先になってしまうと回答があるような場合でも、SOLIZEさんは快く、かつ高品質なサービスを提供いただいています。
次のプロジェクトの取り組みとSOLIZEへの期待について教えてください。
今回製作したモックアップの評判がよく、JAT910モックアップを参考に、他事業部においても展示会や社内説明用のフォークリフトモックアップを製作し、活用しています。
またモックアップだけではなく、設備部品の金属造形も相談しています。これは現行の設備部品の改善活動の一環として解析・設計からSOLIZEさんにも参画いただき、単にモノを作るだけではなく、どのようにすれば今の課題を解決できるかというところから一緒に取り組んでいただいています。3Dプリンターを工法の1つにすることで、コストダウンだけではなく付加価値の向上を目指しています。
豊田自動織機様の3Dプリンター活用の取り組み状況について教えてください。
製造現場では、使用する治具を自社製作して活用しています。3Dプリンターによって、製造工程の改善を早く、安く進められるようになりました。また、私が所属する3Dプリンター活用の推進部署では、先行開発段階での形状評価に活用できる3Dプリンターを導入し、全社展開・支援することにより、新製品のリードタイム短縮に貢献できるようになりました。
今後は、さらに機能・信頼性評価にも活用できる3Dプリンターの導入を検討していますが、高精度・高強度など高い品質が求められますので、まずはSOLIZEさんのような実績のある会社と協力しながら、活用を進めたいと思っています。最終的には、量産製品や補給品への適用を目指しています。当社は長期的に使っていただく製品が多く、生産を中止した後も20年程度は補給品を供給しなければなりません。そのため、補給部品を3Dプリント品に置き換えられないか、部品選定から継続して取り組もうと思っています。
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