SOLIZE株式会社

LCAサービス

アルミ鋳造部品のCFP予測モデルを構築し、CO2削減へ

自動車OEM
A社様 

自動車業界OEM各社の多くが2035年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、製品の環境負荷を低減するために、再生可能エネルギーの導入、生産工場の電化、設備の更新、工程改革などに取り組んでいます。

A社様は工程改革の一環として、全社でCO2排出量が最も多い「アルミ製品の低圧鋳造工程」の消費エネルギー削減に取り組んでいます。

SOLIZEはこの取り組みを支援するため、製品単位のエネルギー消費量を算出する方法を確立、CO2削減に寄与する重要なパラメータを特定し、カーボンフットプリント(CFP)予測モデルを構築しました。環境負荷の低い製品開発を設計段階から実現するための業務フロー構築に貢献しています。

目次

  1. 活動の背景とステップ
  2. CFP算定方針の確立:工程改善効果の見える化
  3. 環境負荷要因の特定
  4. CFPシミュレーションツールの開発
  5. 活動成果サマリ

活動の背景とステップ

A社様の生産技術部は、CO2削減に向けた取り組みを加速させるために、製品ごとの詳細な分析と削減策の検討が求められていました。しかし、データの粒度や算定方法に関して、最適な手法を見つけることに試行錯誤していました。

同社はこの問題を解決するため、SOLIZEと協力し以下の3つのステップで活動を推進しました。

  1. CFP算定方針の検討
  2. 環境負荷要因の特定
  3. CFPシミュレーションツールの開発

スケジュール:プロセス可視化から相関パラメータ検討の途中までを4ヶ月、その後モデル構築を3ヶ月で実施

CFP算定方針の確立:工程改善効果の見える化

A社様は、カーボンフットプリント(CFP)の計算に按分方式を使用していました。これは工場全体の電力消費を生産量で割る方法であるため、生産工程の改革効果を定量化し、設計や製造工程の改善に直結させることが困難でした。そこで生産技術部は、製品単位での積み上げ式算定方式の導入を模索していました。

まずは活動範囲を明確にするため、低圧鋳造を用いた主力アルミ製品を対象に、鋳造プロセス全体を詳細に分析しました。着目したのはアルミの溶解、低圧鋳造、熱処理の3つの主要プロセスで、これらに関するデータ収集と分析を行いました。

鋳造工程のベテラン主導のもと、製品単位で積み上げ式算定方式が適応できる範囲を決定しました。特に低圧鋳造工程では、アルミ溶湯が鋳造機の保持炉に供給されている状態をスタートとし、金型セット、加圧・凝固、製品取り出しまでを1サイクルと定義しました。この工程においては、製品ごとのショット単位で電力消費を計測できるよう、ロガーを設置しました。

一方で、溶解や熱処理のようなバッチ工程では、一定期間に消費されたエネルギー(電力やガス)を、その期間の生産実績重量で按分する方針を採用しました。

これらの手法を組み合わせることで、製品単位でのエネルギー消費量を正確に算定し、積み上げと按分を併用した合理的なCFP算定方法を確立しました。

環境負荷要因の特定

カーボンフットプリント(CFP)の予測を高い精度で実現するために、環境負荷要因を特定する活動を行いました。

ベテラン技術者と協力して鋳造工程を詳細に分析し、消費電力に影響をおよぼす要因を洗い出しました。製品の体積や加工時間など、さまざまな予測パラメータ候補のデータを収集し、統計分析を用いてパラメータの相関・因果関係を調査しました。

消費エネルギーとの相関パラメータ検討

分析の結果、製品設計に関わる要素だけではなく、鋳造機の設定、鋳造条件、サイクルタイムなどの製造要件に関連する要素が消費電力と高い相関を示すことが判明しました。

工程改革を目的としていたため、製造要件に関連する要素を中心にCFP予測モデルを構築する方針としました。通年で生産される主力製品や季節により需要が変動する製品など、複数の製品について検証を重ねた結果、実績データと同等の精度を持つCFP予測が可能であることが確認されました。

CFPシミュレーションツールの開発

以下の2つのツールを開発し、製品のカーボンフットプリント(CFP)シミュレーションを実現しました。

  1. データ前処理/特徴量計算ツール(Python)
    鋳造機から得た生データを製品1ショットごとに切りわけ、CFP予測に必要な特徴量を算出するツールです。機種や生産時期、台数のバラつきなど、元データにおける不均一性の影響を排除するためのデータ前処理作業を自動化します。また、消費電力ログと鋳造機ごとに記録されているショットログデータを分析可能な状態に整理・結合し、特徴量の算出を自動化することで、継続的な運用による予測精度の向上を図ります。
  2. CFPシミュレーションツール(Excel)
    Pythonで算出した特徴量をセットし、対象製品の設計・生産パラメータを入力することで、工程ごとのCFP予測値を算出するツールです。実践的な運用が可能であるかをテストするために構築し、1製品単位のCFPを予測する機能を実現しました。

消費電力や鋳造機ごとのログデータを活用し、継続的に運用することで、予測精度のさらなる向上も可能となっています。

活動成果サマリ

  1. 計測したエネルギーの消費量を製品単位で算定することで、積み上げと按分を併用した合理的な算定方法を打ち出した。
  2. 設計・生産両方の観点からCO2の削減につながるパラメータを特定した。
  3. 計測した消費電力をツールにインプットするだけで、最新の計算ロジックによる製品CFPの予測と精度向上を可能にした。

LCAサービスに関するお問い合わせ

サービスに関するお問い合わせを受け付けています。お気軽にご連絡ください。

  • お電話でのお問い合わせ

    お電話でのお問い合わせ

    03-5214-1919

    受付時間 10:00-12:00、
    13:00-17:00(平日のみ)

  • フォームでのお問い合わせ

    フォームでのお問い合わせ

    お問い合わせ
資料ダウンロード・
お問い合わせ