アルゴリズムを活用し、
通常50時間を要する形状検討用データを20時間で製作
STORY02
既存の構造では解決できないデザイン
日頃お取り引きのあるお客さまから、スピーカーグリルの開発依頼を受けました。
金型要件や強度など加味しなければならない要素の多い部品は、設計的な構造だけでなく、デザイン面でも大きな制約を受けます。スピーカーグリルは、音響性能を決める開口率、穴レイアウト、金型の入れ子製造の制約など、周辺のスタイリングへの影響が大きく、決められた範囲内でデザインされることがほとんどです。制約の影響が大きい部位のため、通常、お客さま内で孔のカタチや断面を標準化しており、テンプレートによる効率化を図りやすいタイプの製品です。
SOLIZEは、従来の穴の構造をとり、金型要件を満たす構造で製作しました。しかし、部品全体のデザインイメージと合わせた特徴的な形状となっているため、既存の設計要件でデザインを担保することは困難でした。そのため、デザインを重視し、標準化している孔のカタチ、断面を変更することにしました。
検討を進める中で、スピーカー孔断面の決定にあたっては周辺の意匠修正も発生すること、意匠面としての品質も必要な造形であることが分かりました。その結果SOLIZEは、設計モデリングだけでなく、性能と生技性を考慮した意匠変更、構造の調整も併せて実施することになりました。
膨大な量のモデリングで構造検討が難航
開口面積や成形上必要な要件など考慮すべき要件が多く、一般的なモデリング手法やテンプレートの活用は困難で、都度膨大なモデリングが発生するため構造検討は容易ではありませんでした。納期への影響が懸念されました。
新しい手法でモデリング作業を効率化、検討からモデリングまでの作業をスピーディに実現
スタイリングや孔レイアウトをデザイナーと調整するため、SOLIZEのスタイリングデータ制作チームと協力して検討を行い、構造決定用のモデリングに形状作成アルゴリズムを活用できるツールを活用することにしました。
SOLIZEが提供する加飾サービスでは、普段使用している設計CADとは異なるツールでアルゴリズムを活用した形状作成を実施しており、トポロジー最適化でのラティス構造の作成にも活用できます。
設計要件を反映したアルゴリズムで解決できないかを検討しトライ。既存のテンプレートを活用した検討では、1案当たり8時間程度の構築時間を要し、さらに別案の検討においては、意匠の変更を想定したデータ作成とそれに合わせたロジックの調整に時間を要し、比較対象となる複数の案を検討するには、50時間を要する想定でした。しかし、想定される意匠の変更をアルゴリズムに盛り込むことにより、20時間で複数案の形状検討用データを完成させることができました。
さまざまなデザインから設計要件をすばやく確認できるようになり、デザインと構造の決定をスピーディに行うことができました。また、膨大なモデリング作業も自動車の恒久意匠作成のノウハウを活かし、CAD間を跨いでも変質や面の欠落がないアルゴリズムとすることで検討データをそのまま活用できるようになりました。その結果、モデリング工数を削減、懸念していた納期への影響はなく納めることができました。
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