COLUMN技術コラム
[No.43] 3Dプリンターの特徴を活かした製品設計① - コストと形状の複雑さの関係性 -
2019.11.11
3Dプリント 金属造形
今回は3Dプリンターが得意とする形状について紹介します。
Fig.1は、切削加工(グラフ中CNC表記)と3Dプリンター(グラフ中SLM表記)の業者に対し、それぞれ2社ずつ同じ形状のデータで見積りを行い、取得したコストをプロットしています[1]。このグラフを簡略化したものがFig.2です。切削加工等の従来工法は、形状が複雑になるにつれてコストが上昇します。一方で3Dプリンターの製作コストは形状の複雑さにかかわらず一定です。その結果、形状がシンプルな場合は従来工法の方が有利、形状が複雑な場合は3Dプリンターの方が有利、という関係性が示されます。
たとえば、Fig.3のように穴を開けて曲げるだけの製品であれば、3Dプリンターよりも板金加工の方が低コストで製作可能でしょう。しかしFig.4のように絞りを必要とする形状の場合、絞り型製作のイニシャルコストがかかるため、少量の製作であれば金型が不要な3Dプリンターの方が安価に製作できると考えられます。3Dプリンターの活用を検討する際には、従来工法が苦手とする複雑な形状の部品をターゲットに選定すると効果的です。
[1] Quinlan et al., Industrial and Consumer Uses of Additive Manufacturing, Journal of Industrial Ecology, 2017; Vol.21; s15-s20