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[No.27] 超々ジュラルミン(A7075)を3Dプリンターで造形できない理由

2019.03.04

3Dプリント 金属造形

かつて零戦にも利用された、超々ジュラルミン(JIS規格:A7075)と呼ばれる7000系アルミ合金は、軽量、高強度の材料であり、現在も自動車や航空宇宙産業で利用されています。しかし、3Dプリンターでは造形過程で発生するクラックによる強度低下が起こることがあるため、造形することが難しい材料のうちの一つです。

超々ジュラルミン(A7075)を3Dプリンターで造形できない理由 Fig.1 A7075研磨断面[1]

超々ジュラルミン(A7075)を3Dプリンターで造形できない理由 Table1 主要アルミニウム合金の代表的化学成分、機械的および物理的性質ならびに溶接性[2]

A7075を造形すると、Fig.1のようなクラックが発生します。このクラックが発生する主要因は溶接割れと考えられます。Table1に示されている通り、A7075はアルミニウム合金の中でも溶接性が悪い部類に属します。出力がレーザータイプの3Dプリンターは、レーザー溶接を繰り返して三次元形状を形作るようなものなので、溶接性が造形品質に大きく影響してしまいます。

溶接性の悪さは合金の組成に左右されるため、合金への添加元素を工夫することでクラック発生を抑える研究もなされています。Maria L.Montero-Sistiagaらによる研究[3]では、A7075にSiを4wt.%添加することでクラックの発生を抑制したという報告がなされています。また、aeromet社のA20Xや、AP WORKS社のScalmalloy®など、3Dプリンター用に組成を調質した高強度アルミ合金材料が市場に出回り始めています。A7075をそのまま3Dプリンターで造形することは難しいため、3Dプリンターに最適化された高強度材料を利用することが望ましいでしょう。

参考文献

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